失敗から今回学んだこと
制作にあたって自分のスタイルをまず決定し、そこからは最後まで一貫してブレずに完成させる
これを怠ると部分部分で違いが生じ、全体的な調和が乱れてしまいます。
(なお描き込むオブジェクト/サブジェクトを増減または修正するなどはここには含まれません。あくまでも画法についてです)
例えば自分のスタイルはクラシカルな重ね塗りだとします。
下書きはバートアンバーできっちりと仕上げる。グレージングの準備OK
そうして下書きをもとに、人物に着色を始める。
メディウムは何も使っていない。
ところがふと、アラプリマをやりたいという衝動が生まれた。
これは、できる限り早く完成させることを目的に印象派の頃から始まった技法で今欧米で油をやる人はこのスタイルが多い。
その際、筆跡の伸びを良くするため、また速乾性、透明性、光沢度をあげたく、僕は良くリクイン+ターペノイドを使う。
これはアラプリマとは非常に相性が良いです。
こうして準備し直した絵の具で、上から塗り直していきます。
全体としてはいい感じですが、すでに着色が施してあった人物は、リクインが相まってグレイジングの効果が出てしまいました。
全体は荒々しい印象なのに、人物だけは重厚な印象を与えています。完全に浮いています。まるでハメコミ合成画像です。
自分がなにをやってるのかわかってなかった
僕はこのクラシカルな技法とモダンな技法を、バラバラと習得していたのでいつもごちゃ混ぜにしてきていたんです。
芸術大学の在先中に油難しいなと、高いなと、そしてメインは抽象画であったこともありアクリルを使い始めました。
しかし卒業後何年か経ち、また油に戻ってきたのですが、もう一度きちんと理解しようと思い色々な本を買いました。
まず初めに手に取り、参考になった図書がこちらです。巨匠に教わる絵画の技法。
この本は1日で読めてしまうくらい写真や絵が多いのですが、絵画の歴史(壁画時代から)を遡り、現代までの進化を楽しく学ぶことができるので非常におすすめです。
古本屋に良く置いてあります。
僕はこの本を読んで絵って本当におもしろいな、と再認識できました。
自分の作風がどこの時代のどんな作品に影響を受けているのか俯瞰し、理解することは1つの作品に対してブレないスタイルで向き合うためにとてもいいツールになるのではないかと思うので、本自体は似たようなものでもなんでもいいので1冊持っておくといいと思います。
一度決めたことは最後までやり抜くこと、これはデカルトが方法序説でも説明しています。
森で道に迷ってしまったとき、あちこちに行くよりも目標をきめたら迷わずにまっすぐ進むことでいつかは出られるとのこと。
絵だけではなく生きていく上でも重要なマインドセットなのではないかなと思いました。