浦和に用があったので、埼玉県立近代美術館のインビトゥイーンという展示を見ました。
出口付近にて開催されていたこちらの企画、かなり良いものを見させてもらいました。
永井天陽さんの 遠回りの近景。
ムサビの助教授の方みたいですね。お若いのにすごい。
いきなりこれが目に入ってきた。
アクリル(?)でできた聖母マリアの型の裏に浮かぶバービー人形。不気味でちょっとカッコイイ。週石材というシンプルな素材の上に立っており、なんともアンバランスである。
私は現代のアイデンティティを表しているように感じた。
インスタグラマーやティックトッカーと呼ばれるいわゆるインフルエンサーと呼ばれる人たち。いかによく見せるかを追求した結果、もはや原型がないほどにエフェクトを使いまくり、皆誰か他の人になりたがっている。
そんな感じで、このバービー人形(有名になりたい子、見た目だけは奇麗な子)が、マリア様の皮をかぶって注目を集め、光り輝いていると見てとれた。
考えるシロクマもいた。外側はなんだかわからないが、象だろうか。
表層の身体と、魂の違いとも取れるかもしれない。
はたまた、工業用の型となるプロトタイプとインスタンスの関係?
素直にお面をかぶっているようなものなのかも。
タコ。
また別の招き猫。なんだかアンパンマングミみたいなお菓子のパッケージにも見えてくる。
モーダル作品も吊ってあった。
これは狸の型ですね。
公式を見ると、
彫刻家の永井天陽は、ものや出来事へのささやかな疑いを出発点として、人が無意識に抱く感覚や認識への問いをテーマに制作してきました。アクリル材や剥製、既製品など、異なる素材を重ね合わせた彫刻作品は、内と外が主張し合いながら一体化し、多重の認識を引き起こします。鑑賞者の視線の先で、表層とかたち、輪郭の関係は揺らぎ、日常的なものが姿を変えて立ち現れてきます。それは世界を「遠回り」で見ることにほかなりません。
https://pref.spec.ed.jp/momas/artist-project207
本展覧会は、「metaraction」シリーズの新作を中心に、工業的な技術や複数の素材を用いた作品を交えて構成します。また、センターホールでは「urnto」シリーズのインスタレーションを発表します。「内でもなく、外でもない」建築コンセプトをもつ埼玉県立近代美術館の空間と、内外の境界が折り重なる永井の作品との出会いは、どんな景色を見せてくれるでしょうか。
とのことでした。僕は内と外を別物として認識して観てしまっていましたが、内と外が互いに主張しあい多重な意味を生み出しているんですね。
いろいろと考えさせられた面白い展示でした。ファンになりました。
埼玉県立近代美術館にて無料で楽しめるので、近くに行かれる方はおすすめです。
作家WEBサイト
https://www.solayanagai.com/
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