ジョナス・メカスの版画 イン・ビトウィーン展を見てきた

アート

久しぶりに埼玉県立近代美術館を訪れた

「イン・ビトウィーン」と称した4人の展示物で、ドローイングや版画、絵画、映像作品が楽しめる。

本展は近年当館の収蔵作家となった早瀬龍江(1905-1991)、ジョナス・メカス(1922-2019)、林芳史(1943-2001)に、ゲスト・アーティストとして潘逸舟(1987年生まれ)を加えた4名の作家に焦点を当て、作品や関連資料、関連作家の作品を交えながら紹介します。
日常と非日常、虚構と現実、過去と現在、国境、ジェンダーなど、世界には目に見える、あるいは目に見えない多くの境界があります。境界の存在は、向こう側を曇らせてしまうこともあれば、他方では自分の居場所を守るための拠りどころになることもあるでしょう。過去から現在まで、多くの作家がこうした境界の多様なあり方に着目し、作品を通してそれを浮かび上がらせようとしてきました。また、境界に立つ当事者としての自身のアイデンティティに向き合い、制作を続ける作家も少なくありません。
本展はこのような視点から、日常的な営みを起点に、絵画、版画、ドローイング、映像などそれぞれのメディアを用いた試みを重ね、他者との境界やアイデンティティについて思索を深める各作家の足跡を紹介します。さまざまな境界線のあわいに立ち、往還する作家たちの眼差しと手探りは、現在に生きる私たちの視野を豊かに広げてくれることでしょう。

埼玉県立近代美術館

その中でも目玉となるのはジョナス・メカスでしょうか。実際、今回一番気になったのは彼の作品ですので、感想を残しておきたいと思います。

ジョナス・メカスについて

ちなみに私は学生時代CT Jasperという映像作家の教授に師事してビデオアートをやっていたのですが、まるで知りませんでした。ジョナス・メカスは映画業界では有名な方なのですね。(勉強不足)

ジョナス・メカス(Jonas Mekas 1922年12月24日 – 2019年1月23日)はアメリカ合衆国の映像作家・詩人・活動家。1950年代からハリウッド映画に対する批判としてニューヨークなどでさかんになった実験映画の文化を支えながら、自らも数々の映像作品を制作した。とくに身辺の映像記録をもとにした「日記映画 (diary films)」で知られる。晩年まで母国語のリトアニア語で詩作を行い、リトアニアを代表する詩人の一人でもある。リトアニア語ではヨナス・メカス。

Wikipedia

アウシュビッツの強制収容所から逃れてアメリカへと亡命したという過去があることを前提に見ると、すべての生の瞬間が彼にとって奇跡みたいに大事だったのかなと勘ぐってしまいます。

映像作品はこのように家族や日常を中心とした、身の回りを映像化しているようです。ダイレクトに重いが伝わってきて、切なくなる。

ジョナス・メカスの版画(シルクスクリーン)

自分が写ってしまうので斜めから撮影していますが、このような作品が展示してある。

これは驚くべきことにシルクスクリーンで刷られており、まるで写真そのもの。どうやってここまで複数のカラーやグラデーションを再現しているのか、まるで謎です。

日記映画を撮影したフィルムを拡大、日本最高のシルクスクリーン技術者が印刷したとのことですが、アンディ・ワーホルのファクトリーで作られた作品とは比べ物にならないほどの完成度。さすごは日本の職人だ。最高のコラボレーションではないか。

とにかく美しい。

連続するコマの像が物語を作りだしておりとても面白く、人生の一部分または記憶の断片のようでありノスタルジックな気持ちにさせられる。

この後印刷紙に焼き付ける技法に移行してフローズン・フィルム・フレームズという写真と映画の間にある作品に熱中したとのこと。ゲルハルト・リヒターの作品を思わせる。

映像作品

また、「幸せな人生からの拾遺集」という映画が館内で放映されている。1時間以上にわたる作品なので、開始時間と余裕を持って訪れた方がよさそう。

最後に

今回の展示のテーマ性が私にとって苦手な内容だったため、どうしようかなと思った展示でしたが新たな発見があり、行って良かったなと思いました。

次に記事にする企画展もよかったので、近くの方は是非。

2023.10.14 - 2024.1.28 イン・ビトウィーン - 埼玉県立近代美術館 The Museum of Modern Art, Saitama
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