【読書感想】千住博の絵を描く悦び

読書記録

千住博の絵を描く悦びという本を読んだ。

この本最高です。絵を描く人は、ぜったいに読んだほうがいい。

千住博さんは、言わずと知れた日本画家で世界的に活躍していらっしゃるお方。

絵の具をそのまま流したような、滝の絵で有名。今は京都造形芸術大学の学長さんを務めている。

この本は、京都造形芸術大学での講義で大事だと思える内容を集めて一冊の本にしたらしく、このアーティストの人生観から絵画というものを通じての哲学や精神論など、幅広い助言が詰まっているのだけれど、ヴェネチアビエンナーレで絵画部門優秀賞を取った人とは思えないほどあまりにも丁寧な口調で、偉ぶっておらず、それでいて日本画という宇宙について限りなく熱い情熱を持った人からの思いが伝わってくる。

俺なんかは、一章一章がなかなかにずっしりと感じることが多くて少しずつしか読み進められなかった。

以下に少しだけ抜粋を乗せておく。

絵とは身体、精神の「鏡」

85

絵画とは世の中のわからない不思議に対する問いかけなのです。イラストレーションとは簡単に言うと、わかってうることの説明図です。他のものに見えてはいけません。りんごはあくまでもりんごに見えなくてはなりません。しかし絵画は、最後はりんごかどうかはどうでもいいのです。画面から消えて無くなってしまってもいいのです。人の顔になってしまってもいいのです。それが絵画とイラストレーションの違いなのです。

P73

モチーフは自分で得たものではなくて「与えられたもの」だと思うのです。

91

絵とは記憶にかかわるものなのです。絵は記憶を内包しているのです。

103

インターナショナルとは何か…それは外国に行って何だかわからないわからない真似のような事をやることとは全く違う事です。インターナショナルとは「かつてあった、しかし忘れてしまっている大切な何かを他の民族に思い出させること」です。自分たちのルーツを気づかせる事です。自分を掘り下げることがインターナショナルの内実というわけです

176

うーん、色々と耳が痛い。

だけど必要な助言て感じだ。この本は折に触れて何度も読み返したいと思います。

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