スケッチブックの選び方

スケッチブックの選び方

アーティストに取ってスケッチブックというのはとても重要です。
それはアーティストにとっての第二の脳であり、実験場兼その記録となるからです。この数年、スランプに向き合っている訳ですが、僕は気付きました。いきなりキャンバスに向かうという行為そのものが間違っているのだと。それでは、コンパスも地図も持たないままに大海原に船出しているようなものなんだと。スケッチブックさえあれば、メンタル的にも、作品としても段階段階を踏みながら壁を乗り越えていけるので、必須のツールだと言えます。私の通った芸術大学では、かなりスケッチブックをつくることにこだわったクラスなどがありましたが、今になって腑に落ちました。

ルネサンスの巨匠を見れば分かりますが、ミケランジェロが良い例だと思います。

Michelangelo Buonarroti (Italian, Caprese 1475Ð1564 Rome) Studies for the Libyan Sibyl (recto); Studies for the Libyan Sibyl and a small Sketch for a Seated Figure (verso) Ca. 1510Ð11 Red chalk, with small accents of white chalk on the left shoulder of the figure in the main study (recto); soft black chalk, or less probably charcoal (verso) Sheet: 11 3/8 x 8 7/16 in. (28.9 x 21.4 cm) The Metropolitan Museum of Art, Purchase, Joseph Pulitzer Bequest, 1924 24.197.2

こちらのスケッチがあってこその、この壁画がありますものね。
今では写真を使う人が多いと思いますが、ドローイングを間に挟むだけで全く違った、活き活きとした作品が出来上がります。これだけは、断言できますし、写真から直に描いた絵はすぐに分かります。面白みがありませんから。

スケッチブックそのものには、2つの使い方があると思います。これらを一冊にしても良いとは思いますし私は以前そうしていました。が、脳と紙への向き合い方が異なるので、やはり分けることをお勧めします。用途はさっそく説明いたします。

1つ目は、作品として残すためのスケッチブック。
仮にこれをスケッチブックAと呼びます。アートのAです。
これには、そこそこ良いクオリティの用紙が要求されます。厚手で、消しゴムを使うことができる。絵具などを使ってもぐちゃぐちゃにならない、ある程度耐水性のあるものが望ましいですね。
日本だとマルマンあたりが売り出しているのが一番流通していると思います。
僕の友人の画家Mは、旨ポケットに欠かさず小さな厚めの用紙のモレスキンを忍ばせており、暇さえあれば何か描いていました。そして良い作品が出来れば、それを実際に大きなキャンバスに油で作り直していました。彼はこのスタイルをいつも貫いていたからか、描くものに困ったことは無いという感じで常に何か作っていたように思います。
このスケッチブックのサイズは、人それぞれの好みだと思います。友人Mは本当に息をするように絵を描くような人だったので、ポケットサイズが向いていました。私は、ベッドに寝そべったりソファでくつろぎながら大型の絵のためにスケッチブックにドラフト作品を残す、という感覚でしたので、手に浮かせて描ける、テーブルに置くほど大きくないA5より少し小さいものが適していました。
いずれにせよ大事だと思うのは、簡単にちぎれてバラバラになってしまうような製品は避けるということ。さらには、完全に広げることができること。これが私のスケッチブックAの条件です。結局この条件を満たすものとなると、モレスキンはかなり優秀だと思います。クオリティの高い製品ですから、一冊仕上がった際の気持ちの高ぶりもひとしおです。

もう1つの使い方というのは、脳みそとしてのスケッチブックです。簡単に言うと、なんでも書き込める自由帳です。
こちらをスケッチブックBとします。ブレインのBです。
これは、ブレインストーミングをするための触媒だと思ってくれれば良いと思います。
紙のクオリティは、どうでも良いです。それよりも量があって、携帯性が良く、かといって書きなぐりに適したサイズは保持していると望ましいですね。そう考えて行くと僕の理想のサイズは、A5になります。
さらにいうと、どこでも買えて、安くてどんなにくだらないことを書いても気にならないようなスケッチブックがふさわしいと考えます。
理由ですが、スケッチブックBの役割というのは、私たちが普段意識の表層にふっと現れた一瞬のひらめきを、限りなくリアルに、スピーディーに記録すること。そしてブレインストーミングをして自分の知らない領域に存在するアイデアを捕まえに行くことだからです。
ですから、学校でのノートを写す時のように後から見やすくて綺麗なものである必要は全く無いからです。
そう考えますと、以前はモレスキンが好きで常に携帯していたのですが、一冊の値段が割とすることから、あまり気軽に書き込むということが僕の貧乏根性からはとてもしづらかったように感じました。
その後はメモ用紙にひたすら書き殴っていましたが、どれもバラバラでどこかにいってしまうこと、そのため体系立ててアイデアを具現化することができないことから、メモ用紙はやめました。代わりに使い始めたのが、よくあるキャンパスノートのA5サイズです。
これは安いですし、サイズ感もちょうどよく、また書きなぐりに適した紙質をしています。

このようにしてブレーンとしてのスケッチブックを2冊用意することで、作品作りがさらに捗るのでは無いかなと思います。Evernoteのような電子ノートも使っているはいるのですが、やはり手を動かして残したものと携帯で書いたものは、情報の質と来るところが異なるように感じました。

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