僕が現代アートの世界に初めて触れたのは21歳のことで、ニューヨークのマンハッタンにあるMoMA、ニューヨーク近代美術館を訪れた時だった。
小さい頃から自分に自信がなく、アイデンティティと言えるものも特になかった僕は、もともと獣医になりたかった。一目置かれるような存在だし、お金も持っている。獣医になることが出来れば人生は豊かで、自分というものが持てるのだと信じて疑わなかった。しかし現実は厳しく、2年間浪人したにも関わらず大学受験に失敗して途方に暮れてしまった。
そんな折に、もう一度人生を考え直そうと向かった先がニューヨークだった。幼少時代を過ごしたこともあり受験では英語だけは得意だった。